こんなにやることあるの!?鈑金塗装工程の裏側紹介

豊田市の車の板金塗装工場FIXの内藤です。

鈑金塗装と言われても、実際に、鈑金塗装工程を見たことがある方はほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか?

ここでは、実際に修理依頼を頂いた車両で、どういった工程で修理しているのか?

覗いて見ましょう。(*´ω`*)

 

目次

お預かりした車の状態

今回、紹介する修理車両の情報と金額やかかった時間はこんな感じです。

修理車両 スバル・インプレッサ
損傷具合 左クォーターからリアバンパーにかけてのキズ・凹み
損傷時の状況

ご自宅の駐車場にて壁面にぶつけてしまわれたようです(´・ω・`)

修理規模 軽い
修理金額 ¥65,000
お預かりの日数

4日
(鈑金・塗装:1日、乾燥:1日、引き取り待ち:2日)

とりあえず目立たないように、市販されている缶スプレーで塗装されており、その塗料を拭き取った状態です。

タイヤとキャリパーに色が少し付いてしまっていますね。(*_*)

図1

図2

損傷部分

では、早速作業していきます。(^^)

 

鈑金工程(凹み修理)

まずは、余計なキズなどを付けないように、リアバンパーを浮かせ、ベルトサンダーという機械にて凹み箇所の塗装面を剥がしていきます(・∀・)

※今回の車両では、安く目立たないようにとのご依頼でしたので、バンパーの脱着やテールランプの脱着など工賃のかかってしまうものを出来る限り減らし、低価格に抑えていますので、脱着等しておりませんが、通常修理の場合は、部品脱着等を先に行っております。(^^)

図3

図4

鈑金修理前

最初の写真からはわかりにくいですが、実際にはこれぐらいの凹みになっていました。(´・ω・`)

クォーター部分のアーチラインや、バンパーが取り付く角も潰れてしまって写真以上に損傷具合は、深いです。

図5

図6

鈑金修理後

鈑金と聞くと、ほとんどの方がハンマーのみで鈑金してると思っていらっしゃる方が多いようですが、

ハンマー以外にも、スタッド溶接機や、スライドハンマーなどいわれる、鈑金専用の機械や、道具を使って鈑金しております。(゚∀゚)

今回の修理もクォーター部分などの、裏から押し出すことが困難な場合はスタッド溶接機などを使い患部を引出して行きます。

写真では戻ってるかどうか判別し難いですが、凹み箇所は、鈑金完了です(*´ω`*)

 

パテ工程(小さな歪み・変形修理)

鈑金工程では、元の形に戻すことを目的としていますが、実際には完全に戻すことは不可能で、どうしても小さな歪みや変形した部分が残ってしまいます。

ですので、パテというものを使って原型に近い状態に修正していきます(゜-゜)

図7

図8

図9

パテ塗布後・乾燥

肌色のものが、パテというものです。パテにも種類があり、弊社では2液性の物を使用しています。

写真でもお分かりいただけると思いますが、修復箇所より大きくパテを付けております。

これにも理由があり、パテ工程では、最終的な歪みや変形修正のため、出来る限りなだらかな面を出すことが必要になってきます

ですので、修正箇所より大きくする必要があるのです。(´・ω・`)

他にも、2液性のパテは硬化を促進させるために冬場など気温の低い時などは、赤外線ヒーターなどを使って乾燥させていきます(*_*)

硬化が終わりましたら、ペーパーヤスリで研いでいきます(・∀・)

図10

図11

パテ研磨後

このように歪み等を取りながら出来る限りなだらかな面を意識して削ります。

1回で取り切れない場合は、2・3回パテ工程を繰り返し原型に近い状態にしていきます(・∀・)

ここで手を抜くとクオリティの差が大きく変わってしまうので最も神経を使う所の1つです。

 

塗装工程(下地処理)

次にプラサフといわれる塗装の下地処理を行っていきます。

図12

図13

図14

図15

プラサフ硬化後

プラサフというものは、パテ工程では、取り切れない細かなペーパー目等を埋める役目や、塗料の密着を良くしたり、防錆などの役割を果たしています。

ですので、ごく薄いキズなどはプラサフのみで処理する場合もあります。

図16

図17

プラサフ、チェック

最終的な下地処理ですので、硬化した後もう一度ペーパーヤスリを当てながら、

歪みがないか等をチェックしていきます。

最終的チェックが終わりましたら、弊社では、薄くしたプラサフでもう一度塗装し二重のチェックをしております。

 

塗装工程(準備)

プラサフの最終工程を終えましたら、塗装する範囲に養生を施し、いよいよ塗装作業に入ります(・∀・)

図18

図19

下地処理完成・養生後

あれ?ドアまで塗るの?と思われるかと思いますが(゜-゜)

塗装の工程では、隣接する部品が修正箇所に近い場合は、基本的には塗装時に、ボカシ工程を行います。ボカシとは、グラデーションのように塗装する塗り方で、修理車両の塗装の劣化具合や、調色では合わせきれなかった色味などを目立たないようにするために行う塗り方です。

このボカシ作業は修復時、ほとんどの車両や、工場で行われております。

他にも養生シートを弊社では、細かな箇所など昔ながらの新聞紙を使用しており、コストを減らし料金の低価格化にも気を配るようにしております(・∀・)

一部では、新聞紙は駄目です。などと言われておりますが、何でもかんでもお金をかければ良いというわけではないので、、、(´・ω・`)

 

塗装工程(本塗装)

では、いよいよベースコートを塗装していきます(゚∀゚)

図20

図21

ベースコート塗装後

ボカシている所分かりますでしょうか?(^^)

勿論分かってしまってはボカシの意味がないので、分からないように塗装していますが、、

養生してある新聞紙のところを見ていただければおおよそのボカシ位置がお分かりいただけると思います。(・∀・)

図22

ボカシ位置

ドアノブ(アウターハンドル)のマスキングのところぐらいまでボカシています。

ベースコートの塗装が終われば一定時間乾燥させ、トップコート(クリアー)塗装に入ります。

図23

図24

トップコート(クリアー)塗装後

トップコートの材料にも色々な種類があり、塗装の仕方や、艶の違いなどいろいろありますが、弊社では、コスト面や艶の具合などいろいろ考慮し、現在はデュポン社のトップコートを使わせて頂いております。

常に他社各社が新たな塗料を開発していますので、今よりクオリティの高く良いモノが出てきましたら新たに導入していきます。

では、しっかりとツヤ、塗装肌が出たらトップコートの塗装が終わりです。

 

これで塗装工程は完了です(*´ω`*)

 

おわりに

ここまでいかがでしたでしょうか?

今回の修理は、軽板金と言われる部類に入りますが、実際はここだけでは書ききれないほどの細かな工程や道具が数多くあります。

例えば、ペーパーヤスリでも10種類以上の種類を使い分けたり、

塗装用のスプレーガンでもプラサフ用、パール用、メタリック用、クリアー用などなど、、軽板金でも本一冊かけてしまうような内容になっています。

その中で抜擢し大きな工程を主に紹介していきました。

お客様のお車がどのように治っていくのか、少しでも分かって頂ければ幸いです。

今の時代、安かろう悪かろうなど時代遅れです。

確かに養生シート1つ取るにしても高いモノはそれなりに良いですし、新聞紙と並べて比べてしまえば敵わないかもしません。

でも最終的なクオリティに関しては材料もありますが、もっとも重要なのは作業を行う「人」ではないのでしょうか?

その「人」が良くなければ良いモノも宝の持ち腐れとなってしまいます。

しかし必要最低限の設備であれば、必要以上に施設代や材料費のために料金を上乗せされなくても済みますし、「人」が良ければ道具を使いこなし、クオリティにもきっと満足して頂けるのではないのでしょうか。

良い道具、良い設備を宣伝していらっしゃる工場様が多いようですが、ホントにお客様が満足していただけるのは果たしてどちらなのでしょうか?

他の工場様が設備で勝負するのなら、弊社は「人」で勝負していきたいと思っております。

 

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